2014年7月24日木曜日

蓄熱をコントロール

住宅の蓄熱の勉強に行って来ました。
今の住宅の技術の中ではまだまだわからないことが多い分野です。
東大の実験施設を見せて貰ったり、最新の報告を聞いてきました。
研究者の皆さんもだいぶ苦労しているようです。
まだまだ、手探り状態のようで、これは凄いというところまでは行っていません。
蓄熱性能を有効に機能させるには、建物の断熱気密性能は絶対条件です。
断熱性能が悪ければ、暖房や冷房のエネルギーは、蓄熱部材にどんどん入って行ってしまって、室内の温度はなかなかコントロールできません。
断熱性能の悪い家は蓄熱性能は少ない方が良い場合も多いです。
それでは、なぜ私が蓄熱をコントロールしようとするのかお話しします。
高断熱になってくると、冬場の暖房エネルギーの大半は太陽の日射熱でまかなえるようになります。
ストーブも使わずに、お日様の熱だけでお部屋がとてもあったかくなります。皆さんも、よくわかると思います。
日中、太陽の恵みで温まった熱を逃がさないのが、断熱性能です。
断熱性能が高くなればなるほど、熱を逃がさなくなるのですが、困ったことも起こるのです。
日中の太陽の熱をたくさん閉じ込め蓄えるので、真冬、外がすごく寒くても、室内の温度は25度30度にもなってしまうことがあるのです。
少し暑い位です。
普通は20度位あれば寒くありませんから、5度10度の熱が余ることになります。
もったいないですね。
そこで、この熱を蓄えておくのが蓄熱です。
昼間蓄えて寒くなって行くと徐々に熱を吐き出します。
蓄熱部材が熱をためたり、出したりすることで、室内の温度変化が緩やかになり快適性がまします。
言葉では簡単なようですが、実際にやってみようとすると結構難しいのです。
熱を貯めるスピードや容量など考えなくてはなりません。
寒いところや暑いところができたり、逆に快適とはいえ無い温度でコントロールされてしまったりすることもあります。
最近は潜熱を利用した蓄熱部材が注目を集めています。
パラフィンなどがそうです。
潜熱とは何かご存じ無い方に少し解説をします。
物質な熱には潜熱と顕熱があります。水を例に取るとわかりやすいと思います。
水の状態で温度が上がったり下がったりするのが顕熱です。水が氷になる時に使う熱のエネルギーが潜熱です。同じ0度でも水の状態と氷の状態では熱のエネルギーは全く違います。
物質が個体になったり液体になったりするには凄い量のエネルギーが必要なのです。
そのエネルギーが潜熱なのです。
パラフィンは、科学物質で、固化、液化する温度を成分の調整でコントロールすることができます。
20度で固化させたり25度で固化させたり、するようにできます。
その性質を利用して室温をコントロールさせるのです。
秩父パッシブハウスは真冬に室温が17度から25度位に毎日上下します。
もし20度で変化する潜熱蓄熱材があれば、20度を超えると熱を貯め始め、20度を下回ると、熱を出し始めます。20度近くになるように熱を出したりためたりしてくれるわけです。
まだまだ、本格的な研究が始まったばかりなのでうまくいくかわかりませんが当社もチャレンジしてみたいです。

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