2014年2月28日金曜日

長持ちする家を作りたい。

私は建築業界で仕事を始めて,まもなく疑問に思ったことがあります。
それは数多くの住宅が壊されては作り替えられていくことです。

早いものでは築20年で壊されていきます。
まだまだ住めるのにとても残念に思ったことを思い出します。
今では、100年も経つ住宅は数えるほどしかありません。

21歳の時、バック一つでヨーロッパを一人旅して回りました。
何百年も建つ家がたくさんありました。皆上手に修繕をしながら代々引き継いですんでいます。
そんな家々は古くはあるけれど、とてもしっかりしていてすてきに見えました。
とても衝撃的なことでした。
妹がイギリスに住んでいたこともあります。
これも,古い家なのですが、とても味わいのある良い家です。
大家さんが窓を取り替えたりメンテナンスをしてくれ快適に暮らしていました。

国土交通省のデーターがあります。
日本の家の寿命は平均30年 大量消費国家のアメリカでさえ55年です。

日本の家はなぜこんなに寿命が短いのでしょう。
昔建てられた,農家の民家などは100年以上持っているものもあります。
ですが 戦後建てられた住宅は とても短い寿命です。

30年で作っては壊しということを繰り返すと言うことは、一代で一軒建てているということです。すべての世代で大金を払い家を建てなければなりません。
欧米ではおじいさんが建ててくれれば孫子の代までその家に住めますのでとても生活が楽です。「おじいさんが良い家を建てておいてくれたおかげで、よかったなぁ。」という感じです。
日本ではそうではありません。どんなにお金をかけた家を作っても,壊されてしまうのです。

すぐに壊されてしまう理由は何でしょうか?若い頃私はずっと考えていました。

自分が作る家がすぐに壊されてしまうのではたまりません。

ライフスタイルの変化で家が対応できないのでしょうか?
そうでもなさそうです。リフォームなどで使いやすく,好みに合った雰囲気に変えることは出来ます。

家が狭過ぎるのでしょうか?
そうでもなさそうです。とても狭い家ならそうでしょうが、30坪以上もある家が壊されていきます。

答えは3つあると思いました。

まずは 耐震性。
日本では,大きな地震がたびたびあります。
昔の作りでしっかり作った家は,長い年月の経験が生かされていますからしっかり作ってあります。しかし戦後数多く作られた住宅は、とても弱い住宅が多いようです。大きな地震が来るたびに耐震基準も見直され,古い住宅は基準に合わなくなってきています。補強して住み続ければ良いのですが、作り替えてしまえと言うことになるようです。

次に 耐久性
日本は高温多湿です。 床下が腐ったりシロアリが入って壊れてしまうこともあります。
欧米でもそういう地域もあるのでこれを言い訳にするわけにはいきません。
ですが、これが原因で作り替えなくてはならない住宅もたくさんあります。
外壁や水道のパイプに至るまで、あまり耐久性に考慮した製品が使われてこなかったことも原因だと思います。これはお客さんが解らないのを良いことに建築業者がコストダウンのためだけに粗悪な製品を使い続けて来たことが原因です。見た目だけでの価格競争が原因でしょう。

最後に 住み心地
どんなに、すばらしい家でも住み心地が悪ければ、より快適な家に住みたくなってきてしまいます。本当は年数が経つほど味わいが出てきて、上手にすみこなして行くのが理想なのですが、ぺらぺらの家なのですきま風はあるし、寒くて寒くてとても住み続けたいとは思わないようです。寒くて寒くてとても我慢できない。というのも大きな立て替える原因です。
見た目の雰囲気も大事です。時間とともに変化し安っぽく汚くなっていく素材を使いすぎていたのでは無いでしょうか?愛着がわくわけもありません。

私が、他社と違う感覚で家造りをしているのは、これらのことを考えていたからです。
どんなに良い見た目でも、どんなにローコストでも、すぐに飽きられ,すぐに耐久性が無くなるような家ではだめです。
長持ちしなければそれはお客さんのためにも環境のためにもなりません。

「住む人に愛され長持ちする家を作りたい。」
それが,私の考え方のベースです。


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