2017年11月28日火曜日

湿度のコントロール

昨日、新潟でセミナーをしてきました。
そこで、聞いてくださった方からメールで質問が来ましたので ここに私のお答えを載せておこうと思います。
住宅建築をお考えの方にも参考になると思います。

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Q:全館暖房ということですが、湿度管理はどうしているのでしょうか?

Q:湿度は何パーセントくらいになるようにしていますか?どのように保っているのでしょうか?

この質問をされた方はたぶん普段から温熱のことをきちんと考えてがんばっている人だと思います。
がんばっている人はさらに考えが進んでいきますね。
暖かい家を作るのは気合いを入れてがんばれば比較的簡単にできるようになります。
 先に進んでいる人はこのような悩みになってきますね。 

温度ムラを少なくすること
  各場所ごと
  24時間の中で
  晴れや雨の日でも

湿度のコントロール
  冬の乾きすぎ
  夏の除湿

輻射面温度のコントロール
  
そんなことに移っていると思います

ご質問の回答ですが私なりにお答えします。
まず目標湿度ですが 夏は60%以下 冬は40%以上を目指しています。

湿度コントロールは難しいですよね。
今年のパッシブハウスアジアカンファレンスでも除湿がテーマになりました。
最近のエアコンは効率の競争で 顕熱(温度の成分)を下げるのは得意ですが潜熱(湿度の成分)を取るのは難しいですね。
普通にエアコンを付けると夏場は 温度が下がっても湿度65%70%の空気しか作れないことが多く
あまり快適な感じはしませんね。
東大の前先生は 湿度を取る(潜熱を下げる)のはエネルギーを使うから 他の要素で涼しくすれば良いのではないかと言っていますね。
服を脱ぐ 風に当たる じっとしている 温度を下げる です。
具体的には
  着衣量を少なくする(薄着にする)
  気流を多くする。(風に当たる)
  運動量を少なくする
  顕熱を下げる(温度を下げる)
ということですね。
しかし 私はそれが一番快適だとは思いません。
少し温度が高く カラッとしている方が気持ちよい様な気がします。
私がデブで汗っかきだからでしょうか?
服を脱ぐのにも限りがありますし 扇風機の風にずっと当たっているわけにも行きませんし
ずっとじっとしているわけにはいきません物ね。
確かに温度を下げるのも手ですが 人によっては「寒すぎる」と不快に思う人が出てきます。
そう考えると やはり一番難しい「湿度を下げる方法がないか」と考えざるをえません。
パッシブハウスの考え方では快適性を犠牲にせずにエネルギーを減らすことにありますから
この辺もできるだけ妥協せずにがんばっていきたいです。


夏の湿度を下げる。温度を下げすぎないで。
皆悩んでいます。

私たちが考えている一つの解決策として 給気エアコンがあります。
パッシブハウスレベルの性能の住宅でしたら24時間換気の給気量だけ冷房すれば全体の温度が下がります。
換気システムの給気量はエアコンなどの風量と比べてとても少ないため、熱交換器で除湿が促進されます。
吹き出し温度が低いですから かなり乾いた空気が作れます。
とても良い方法なのですが、まだ実験レベルであるのとパッシブハウスレベルの断熱が必要です。
いろいろな技術的課題が解決され早く製品化されるといいですね。
ダイキンのアメニティーエアコンを使って皆さんいろいろ試していますね。

一番簡単な方法は 日立の再熱除湿付きのエアコンを使うことです
エアコンでたくさん冷やし除湿した空気をちょうど良い温度に再加熱する機能を持っていますので室温は下がりすぎずに湿度のコントロールができます。
ですが、冷やして暖めるということをやっているのでエネルギーはとても使ってしまいますね。

私がやっている方法は 小屋裏エアコンでで少しショートサーキットさせ冷たい空気を作りそれをファンで適量配りちょうど良い室温にするという方法です。
小屋裏で22度70%位の空気は今のエアコンで作れます。
そのままですととても寒いので ファンの強弱で各お部屋に分配し26度55%位を狙っていきます。
この方法は理論的にはうまくいくのですが実際にはコントロールが難しいです。
各部屋の温度ムラを作らないために 確実な日射遮蔽、高い断熱性能が必要です。

もちろん今皆さんが多く取り入れてきている熱交換換気扇を全熱のタイプにするというのも少し良くなります。
当社もこれは最低限の取り組みとして行っています。

日本の夏は難しいですね。


冬の過乾燥も問題ですね。
高断熱できちんと換気をすると外の乾いた空気が入ってきて室内で暖められますから相対湿度はどうしても低くなってしまいます。
何も対策をしないと30%台なんて普通に起こってしまいますね。
私がやっている対策ですが
全熱の熱交換換気扇で少しは良くなるとはおもいますが、それだけでは足りません。
プランでの対応とお客様の協力です。住まい方の工夫です。(笑)
洗濯を干す場所を室内のどこかに必ず作ります。
「冬場乾燥するときには室内干しを積極的にしてくださいね」
なんて言っています。
それと 観葉植物 水槽なんかもおすすめします。
あと 浴室のドアを開けたままにしてもらうということでしょうか?
技術的なことではなかなか難しいですね。
加湿器をかってもらえば良いのかもしれませんが エネルギーをあまり使わないようにするためにも 建築側 住まい方でまずは解決できるといいですね。

ご質問してくださった方も いろいろ考えていらっしゃると思うので 何か良い方法の情報をもっていらしたら
是非、教えていただけるとありがたいです。

このような情報交換が できる仕組みができて みなで議論できるといいですね。
みんなレベルが上がりますよ。(笑)

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